ご高齢のために記憶力に不安?そんなときのための補助人制度!~民法第18条 補助開始の審判等の取消の解説~

教育

前回の民法第17条は補助人の同意を必要とする旨の審判等についての条文だったね。

被補助人の場合、成年被後見人や被保佐人と違って、当人が不安に思うことだけを限定的に制限をかけることができたね。

ゆうき
ゆうき

回は補助開始の審判の取消しが記載された民法第18条の解説だよ。

被補助人の想定できるケースはお歳を召して大きな契約等に不安がある場合にも適用されるから、取消についても出来ることは頭の片隅にとどめておきたいね^^

民法第17条は補助人の同意を要する旨の審判等についての条文でした。

もう、恒例となったと思いますが、軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。

成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人   判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人   判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)

支援の必要性の度合いは

成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人

という形になります。

今回は補助開始の審判の取消しが記載された第18条について宅建試験、行政史書士試験のレベルで解説していきます。

第10条や第14条と似ている部分や引用している部分もあるので、比較しながら見ていくと分かりやすいかもしれません。

 

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1. 条文

第18条(補助開始の審判等の取消)

第15条第1項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。

➁ 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第1項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

③ 前条第1項の審判及び第876条の9第1項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければならない。

2. 条文解説

第18条

① 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(認知症等で症状が軽い人)でなくなったときは、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の申立てによって、家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければなりません。

ここで注意したいのは、申立てがあった場合、裁判所は「取り消さなければならない」点です。裁判所の裁量はそこには入りません。

➁ 第1項で記載された人からの申立てによって、家庭裁判所は13条1項から選択して制限をかけた法律行為で補助人の同意を得なければならないもの(第17条第1項)の全部又は一部を取り消すことができます。

ここで疑問に思われた方もいるのではないでしょうか?
全部を取り消したら「被補助人」ではなくなってしまうのでは?

「同意を得なければならない法律行為」についての全部なので、補助人に「同意権」が残っていれば、「被補助人」でいることは可能です。

ちなみに第13条1項各号は以下の法律行為です。

  1. 貸したお金の元本の受取、又は、他の人に貸しつけること。
  2. 財産を借りること、又は、他の人の保証をすること。
  3. 不動産等の大きな売買をすること。
  4. 訴訟行為
  5. 贈与をすること。和解、仲裁合意をすること。
  6. 相続の承認、放棄、遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込みを断ること。

遺贈(被相続人以外の人が亡くなった何かを贈与すること)を放棄すること。
負担付贈与(物やお金等と引き換えの贈与)の申込みの承諾。
負担付遺贈(物やお金等と引き換えの遺贈)を承諾すること。

  1. 家の新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  2. 第602条に定める期間(処分の権限を持たない人が設定する賃貸借の期間)を超える賃貸借をすること。

③ 「同意を得なければならない法律行為」と代理権(第876条の9第1項)のすべてを取り消した場合には、家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければなりません。

3. まとめ

今回は、補助開始の審判等の取消しが記載されている第18条を解説しました。
補助人が「同意権」と「代理権」をすべて取り消したならば、保護されていた人はすでに「被補助人」でなくなることが重要ですね。

恒例となりましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。
制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。

成年後見制度を利用される方のために(PDF:1.38MB)
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)

家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。

※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。

参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html

今回はこのへんで(^.^)/~~~ 

 

 

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