大切な人を守れる知識を身につけましょう!~民法第13条 被保佐人が制限される法律行為の解説~

教育

前回解説してくれた民法第11条、第12条は被保佐人になるための手続きの条文だったよね。

でも、「成年被後見人」と「被保佐人」で出来ることがどう違うの?

ゆうき
ゆうき

今回解説する民法第13条は「被保佐人」の最低限の法律行為の制限を具体的に記載した条文だよ^^

民法第11条、第12条は被保佐人になるための手続きについての条文でした。
軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。

成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人   判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人   判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)

支援の必要性の度合いは

成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人

という形になります。

今回の第13条のテーマになりますが、「成年被後見人」と「被保佐人」でできることはどのように変わってくるでしょうか?

成年被後見人 → 日用品等の購入を除いたほぼすべての法律行為が取消の対象
被保佐人   → 日用品等の購入と第13条1項で記載されている法律行為が取消の対象

という違いがあります。

もちろん、第13条1項で記載されていない法律行為についてもあらかじめ保佐人等の申立てがあれば、取消の対象とすることができます。

スポンサーリンク

1. 条文

第13条(保佐人の同意を要する行為等)

 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

  1. 元本を領収し、又はりようすること。
  2. 借財又は保証をすること。
  3. 不動産その他の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  4. 訴訟行為をすること。
  5. 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
  6. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込を拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
  8. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  9. 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
  10. 前各号に掲げる行為を制限能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

 

➁ 家庭裁判所は第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

 

③ 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に変わる許可を与えることができる。

 

④ 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

2. 条文の形式

民法は第13条まで「号」が出てこなかったので,特に触れてはこなかったのですが,
条文は「条」→「項」→「号」で構成されています。

小説や論説文でいうところの
「部」→「章」→「節」→「項」の見出しに当たるものだと思っていただければOKです。

これより先
項 → 〇で囲んだ数字
号 → 単なる算用数字

で示していきますね。

3. 条文解説

第13条

① 被保佐人が次に挙げた法律行為をする場合には、保佐人(保護者)の同意を得なければその法律行為をすることができません。ただし民法第9条ただし書に規定する法律行為については、保佐人の同意がなくてもできます。

 

民法第9条ただし書
 ただし、日用品の購入その他の日常生活に関する行為については、この限りでない(法律行為を取り消すことができない)。

  1. 貸したお金の元本の受取、又は、他の人に貸しつけること。
  2. 財産を借りること、又は、他の人の保証をすること。
  3. 不動産等の大きな売買をすること。
  4. 訴訟行為
  5. 贈与をすること。和解、仲裁合意をすること。
  6. 相続の承認、放棄、遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込みを断ること。
    遺贈(被相続人以外の人が亡くなった何かを贈与すること)を放棄すること。
    負担付贈与(物やお金等と引き換えの贈与)の申込みの承諾。
    負担付遺贈(物やお金等と引き換えの遺贈)を承諾すること。
  1. 家の新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  2. 第602条に定める期間(処分の権限を持たない人が設定する賃貸借の期間)を超える賃貸借をすること。

上記各号の行為は、被保佐人にとって大きく利益を失う可能性がある法律行為です。

1号の貸したお金(元本)を返してもらう行為は一見、お金を返してもらうから不思議に思うかもしれませんが、元本が減ると帰ってくる利息も減ることになってしまい、被保佐人が損をしてしまう可能性があります。

 

➁ 上記に挙げた第1項1号~9号以外の法律行為でも、被保佐人(保護される人)が保佐人(保護者等)の同意を得なければならないことの審判(保佐人が一人で判断や決定できないようにする審判)を家庭裁判所はできます。保佐人(保護者等)か保佐監督人(必要な場合に設定される保佐人の監督者)の申立てが必要です。

ただし、日用品の購入等(第9条ただし書)はこの審判をすることはできません。

すなわち、1号~9号以外でも被保佐人の法律行為を制限できるということですね。

 

③ 被保佐人が損をするおそれがない法律行為について、保佐人が同意しない場合には、被保佐人からの申し立てがあれば、家庭裁判所は保佐人の同意に代わる許可をすることができます。

 

④ 保佐人の同意を得なければ被保佐人ができない法律行為を保佐人の同意なしで被保佐人がしたときには、取り消すことができます。

 

4. まとめ

成年被後見人と被保佐人の制限は以下のようになります。

後見制度 できること 取り消すことができること
成年被後見人 日用品等の購入 日用品等の購入以外の法律行為
被保佐人 日用品等の購入
13条1項各号で挙げた法律行為及び保佐人等が申立てた法律行為以外の法律行為
13条1項各号の法律行為
保佐人等が申立てた法律行為

被保佐人ができることは成年被後見人のできることと比較して多くなっていますね。

前回の記事にも載せましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。

成年後見制度を利用される方のために(PDF:1.38MB)
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)

   家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。

※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。

参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html

今回はここらへんで(^.^)/~~~

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

2021年度版 行政書士試験六法 [ 行政書士試験研究会 ]
価格:3740円(税込、送料無料) (2021/4/26時点)

楽天で購入

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

2021年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書 [ 滝澤 ななみ ]
価格:3300円(税込、送料無料) (2021/4/26時点)

楽天で購入

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました