前回の民法第18条は補助開始の審判等の取消しについての条文だったね。
制限行為能力者って、成年被後見人、被保佐人、被補助人の3タイプあったけど、一人の人が重複して審判開始できるの?
実は重複して審判開始できないんだよね。
それが書いてあるのが今回解説する民法19条だよ^^
民法第18条は補助開始の審判等の取消しについての条文でした。
第10条や第14条と似ているので比較しながら見ていただくと分かりやすいと思います。
もう、恒例となったと思いますが、軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。
成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人 判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人 判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)
支援の必要性の度合いは
成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人
という形になります。
今回は審判相互の関係が記載された第19条について宅建試験、行政史書士試験のレベルで解説していきます。
1. 条文
第19条(審判相互の関係)
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
➁ 前項の規定は保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。
2. 条文解説
「準用する」とは、本来の対象でないが似ている対象に条文を当てはめることをいいます。
該当する言葉を入れ替えて前の文章を使うってことですね。
第19条
第1項、第2項を通して、「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の制度はどれか一つを選択しなければならず、他の制限行為能力者に該当する人はその開始の審判を取り消さなければならないということが書かれています。
後見開始の審判をする
本人が被保佐人のとき → 保佐開始の審判の取消し (第1項)
本人が被補助人のとき → 補助開始の審判の取消し (第1項)
保佐開始の審判をする
本人が成年被後見人のとき → 後見開始の審判の取消し(第2項)
本人が被補助人のとき → 補助開始の審判の取消し(第2項)
補助開始の審判をするとき
本人が成年被後見人のとき → 後見開始の審判の取消し(第2項)
本人が被保佐人のとき → 保佐開始の審判の取消し(第2項)
とそれぞれ取消しをしてからでないと該当する開始の審判をすることができません。
3. まとめ
今回は、審判相互の関係が記載されている第19条を解説しました。
今回の解説で制限行為能力者についての規定がひと段落ですヾ(*´∀`*)ノ
後見開始の審判は「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の適切なものを選択してしなければならないということが書かれていました.
能力レベルの度合については、最終的にはお医者さんの診断書が必要です。
恒例となりましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。
制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)
家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。
※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。
参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html
ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
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2020年11月23日ブログ開始
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