商売人はつらいよ( ;∀;)~民法第20条 制限行為能力者の相手方の催告権の解説~

教育

前回は審判相互の関係についての民法第19条について解説してくれたね^^

重複して、成年被後見人、被保佐人、被補助人の制度は使用できないことが良く分かったよφ(..)

でもさぁ、制限行為能力者の人と契約をした相手方は、取消されるか、取り消されないかのずっと不安定な位置にいなくちゃならないの?

ゆうき
ゆうき

制限行為能力者と契約をした相手方は、不安定な位置を脱却できるための仕組みがしっかりと民法の中に用意されているよ^^

それが今回解説する民法第20条だよ。お店を開いているような人にはぜひ知っておいてもらいたい条文だね^^

民法第19条は審判相互の関係についての条文でした。

後見制度は「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」のいずれか適切な1つを選択して利用することになりますね。

もう、恒例となったと思いますが、軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。

成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人   判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人   判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)

支援の必要性の度合いは

成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人

という形になります。

今回は制限行為能力者の相手方の催告権が記載された第20条について宅建試験、行政史書士試験のレベルで解説していきます。

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1. 条文

第20条(制限行為能力者の相手方の催告権)

制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

➁ 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項にきていする催告をした場合において、これらの者が同行の期間内に確答を発しなときも、同項後段と同様とする。

③ 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

④ 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

 

2. 条文解説

第20条

① ここでは制限行為能力者を「未成年」「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」のことです(第13条第1項第10号)。

制限行為能力者がした売買契約等の法律行為は、取り消すことができるものがたくさんあります。そんな売買行為をした相手側はいつになっても取り消される覚悟をしておかなければならないでしょうか?

この条文はそんな相手方の状態を確定させるためのものです。

例えば、19歳11か月の「未成年者」にバイク屋さんがバイクを売ったとしましょう。
この未成年者は1か月もすると「成年者」となり、法律行為を一人でできるようになります。
バイク屋さんはこの「元未成年者であった成年者」に、1か月以上の期間を定めて、「契約を取り消すか取り消さないかはっきりしてくれ!」と注文することができます(催告)。

催告を受けた「元未成年者であった成年者」が回答しないときは、バイクの売買は成立したことになります。
もし「元未成年者であった成年者」が追認しない旨を相手方に発した場合は、取り消すことができます。

➁ 制限行為能力者と売買等をした相手方は、保護者等(法定代理人(親、成年後見人等)、保佐人又は補助人)に1か月以上の期間を定めて、「契約を取り消すか取り消さないかはっきりしてくれ!」と注文することができます。

この催告を受けた保護者等が回答期間内に回答しない場合は、保護者等が追認したものとみなされ契約は取り消さないことが確定されます。

 

第3項は宅建試験や行政書士試験では見たことがありませんので、ここでの説明は割愛させていただきます。
「特別の方式を要する行為」を知りたい方は、参考のHPを挙げておきますね。

参考:http://blog.livedoor.jp/kosekeito/archives/minpou20jou.html

④ 被保佐人又は被補助人(第17条1項の審判を受けた者(補助人の同意がなければできない法律行為を定めた者))と売買等をした相手方は、その被保佐人、被補助人に一箇月以上の回答期限を定めて、「契約を取り消すか取り消さないかはっきりしてくれ!」と注文することができます。

その期間内に回答がなかったときは、売買等を取り消したものとみなされます。

3. まとめ

今回は、制限行為能力者の相手方の催告権が記載されている第20条を解説しました。
回答期限が過ぎたときに「追認したものとみなす」か「取り消したものとみなす」か分かりにくいかもしれません。
まとめると以下のようになります。

行為能力者への催告   → 回答期限が過ぎたら追認したものとみなす。
制限行為能力者への催告 → 回答期限が過ぎたら取り消したものとみなす。

これで少し分かりやすくなったのではないでしょうか?

恒例となりましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。
制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。

成年後見制度を利用される方のために(PDF:1.38MB)
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)

家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。

※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。

参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html

今回はこのへんで(^.^)/~~~ 


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