後見制度って成年被後見人だけなの?それだと、自分で何も決められなくて不便じゃない?
後見制度を使いたい人の症状のレベル別に「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の3つの制度があるよ^^
今回は「被保佐人についての条文」を解説するよ^^
民法第7条~第10条までは成年被後見人についての条文でした。
民法第11条からは対象が変わって「被保佐人」についての条文となります。
成年被後見人と被保佐人についての違いはこちらに記載しましたが、
軽くおさらいとして、
成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人 判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人 判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)
支援の必要性の度合いは
成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人
という形になります。
最終的な診断はお医者さんができるようです(口述しますが申請には、お医者さんの診断書も必要です)。
今回は被保佐人の条文である、民法11条と民法12条について宅建、行政書士試験のレベルで解説しますね。
間違いがあれば、ご指摘いただけるとありがたいです^^
1. 条文
第11条(保佐開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。
第12条(被保佐人及び保佐人)
保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
2. 条文解説
第11条
中度の認知症等によって日常生活は何とかできるけれど大きな買い物(不動産等)の契約をできないような人について、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官が家庭裁判所に対して申し立て(請求)をすることによって、裁判所は保佐開始の審判をすることができます。
後見人や後見監督人から請求された場合は重度の認知症等の症状から改善が見られた場合等ですね。
また,この場合は後見開始の審判を取り消さなければなりません。
すなわち,第7条(成年被後見人)に該当する人は保佐開始の審判を受けることができません。
ちなみに補助人、補助監督人から申請された場合は逆に軽度からちょっと症状が進行してしまった場合が考えられますね。
この場合も補助開始の審判を取り消さなければなりません。
被保佐人についても
「判断能力が著しく不十分+保佐開始の審判」が成立条件となります。
第12条
「判断能力が著しく不十分+保佐開始の審判」の条件が成立して被保佐人となった人の法定代理人(保護者)は「保佐人」と呼ばれます。
3. もう一歩!(料金について)
宅建、行政書士試験には関係ありませんが、
裁判所がホームページで公開している料金については以下の通りです。
申立手数料及び後見登記手数料 | ¥3,400(収入印紙) |
送達・送付費用 | ¥4,210 |
鑑定費用 | 申立時に提出する診断書とは別に裁判所が医師に依頼する費用(裁判所が審理上必要としたときのみ) ¥100,000~¥200,000 |
医師の診断書の作成費用 | 数千円程度(医療機関による) |
住民票,戸籍抄本 | 各数百円(自治体による) |
登記されていないことの証明書の発行手数料 | ¥300(収入印紙) |
参考:申立てにかかる費用・後見人等の報酬について | 裁判所 (courts.go.jp)
ここで「医師の診断書」が必要になりますね。
すなわちレベルを決定するのは最終的にはお医者さんの判断になります。
4. まとめ
制限行為能力者の制度について、裁判所のホームページを覗くといろいろと啓蒙しているみたいですね。
でも、これらは情報を少しでも知っている人でないとたどり着けない気がします(-_-;)
知らないか制度があることをなんとなく知っているかでも大きな差になってしまいますね。
以下に裁判所が公表している成年後見制度のパンフレットを貼っておきますね。とても見やすいパンフレットになっています。
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)
家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。
※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。
参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html
今回はここらへんで(^.^)/~~~
ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
各分野初心者の方々の「困った」や「知りたかった」の助けになるようにブログ作成中!
2020年11月23日ブログ開始
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