前回は民法第32条の2の同時死亡の推定について解説してくれたよね。
争いが起こらないように予め同時死亡が推定されるようになっている条文だったね。
相続が絡む争いが勃発するのを回避してくれる条文だとよく理解できたよ^^
今回からは第3章の法人について解説していくね^^
平たく言うと会社の根幹となる条文だよ。
前回は同時死亡の推定が記載された第32条の2を解説しました。
相続が絡むような争いの勃発を回避できる条文でした。
今回から新しい章、第3章 法人の解説をします。
とはいうものの第3章は第33条と第34条しかありませんので、次回には第3章が終わりますね。
今回は民法第33条の法人の成立等として記載されている全体的なルールについて、宅建試験、行政書士試験レベルで解説していきたいと思います。間違い等ご指摘がある場合はぜひ、ゆうきにご連絡くださいね。
それでは、見ていきましょう。
1. 条文
第33条(法人の成立等)
法人は、この法律その他の法律規定によらなければ成立しない。
➁ 学術、技芸、事前、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。
2. 法人とその意義
まず、「法人」とは何でしょうか?
文字の通り「法の上で人と認める」制度の事です。簡単には「会社」を思い浮かべてください。
なぜ、組織を法の上で人に見立てる必要があるのでしょうか?
例えば、法人という制度がなかったとします。その場合、事業をしているはすべて個人事業主になってしまいます。その本人が亡くなった時に、個人事業で得た財産と地位は相続の対象となり、遺族のものとなります。
その場合には、遺族には負債も利益もすべて相続されることになり、利益がある場合には相続税の対象となってしまいます。
すなわち、人が亡くなる度に煩雑な作業が発生してしまい、大きな組織では手間ばかり増えてしまいます。
また、地位を相続の権利がある人しか承継できないとすると、相続対象者以外には事業を承継できないことになります。
そうなると、世の中的にも事業が途切れたりして、大きい会社などと取引していたところは迷惑を被ってしまうおそれも出てきます。
そこで法人の制度を適用すると、たとえ社長が亡くなって入れ物としての会社は、それ自体が法の上で人とみなされているため、上記のような煩雑な手間や承継に対しての問題が起こる可能性を低減します。
3. 条文解説
第33条第1項
法人を設立するには、民法その他の法律の規定が必要となるという条文です。例えば、会社法には設立についての規定が記載されていますので、その規定に沿った形で設立をしなければならないということですね。
ちなみにこの法律によらない限り、法人を設立できないことを「法人法定主義」と呼ぶことがあります。
第33条第2項
第1項の解説で書いたように、例えば会社法の設立の方法や組織、運営等については、会社法等の「法律」で定めた手順を踏むことを規定しています。
法律で明確にして、関係者の利益を保護しようとしている条文ですね。
4. 判例
関連する判例を2つご紹介します.
直接というよりは、後程説明しますが「権利能力なき社団」に絡む判例です。
(権利能力なき社団が保有する不動産は、)本来、社団構成員の総有に属する不動産は、右構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから、代表者は、右の趣旨における受託者たるの地位において右不動産につき自己の名義をもつて登記をすることができるものと解すべきであり、したがつて、登記上の所有名義人となった権利能力なき社団の代表者がその地位を失ってこれに代る新代表者が選任されたときは、旧代表者は右の受託者たる地位をも失い、新代表者においてその地位を取得し、新代表者は、信託法の信託における受託者の更迭の場合に準じ、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることの協力を求め、これを訴求することができるものと解するのが相当である。
「権利能力なき社団」とは今まで述べてきた法人と異なり、ただ単に何かのために集まった集団と考えてください。
この「権利能力なき社団」は、法人ではないのでその団体名等では、土地の登記はできません。そこでその集団の代表者が登記の名義人になることが通常です。
逆説的に法人であれば、その法人名で土地や建物の登記ができます。
こうして、集団が代表者の名義にて登記した土地は、集団のものであって登記簿に書かれている代表者の名前は集団から委託されて登記したものと解釈されます。
よって集団の代表者が代表者でなくなったばあいは、新代表者の名前で登記しなおすことが相当だという判例です。
最判昭48.10.9
権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが、相当である。
権利能力なき社団の債務は団体としてのみ義務化されて、集団を構成する構成員は責任を負わないという判例です。
5. まとめ
今回は法人の成立等が記載されている第33条と、それに関する判例を2つ解説しました。
法人の設立については法人法定主義によって、会社法等の「法律」で定めた手順を踏むことを規定しています。
加えて、関連として「権利能力なき社団」についての判例を2つ紹介しました。
「権利能力なき社団」は土地や建物も登記ができず、
また債務は集団の個々人には責任が及ばないという判例でした。
今回はこのへんで(^.^)/~~~
ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
各分野初心者の方々の「困った」や「知りたかった」の助けになるようにブログ作成中!
2020年11月23日ブログ開始
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