前回の解説では制限行為能力者の相手方の催告権が記載されている民法第20条を解説してくれたね。
制限行為能力者と契約をした相手方が、不安定な立場を脱するための方法が書かれていたね。
今回は、制限行為能力者の詐術について記載された民法第21条を解説するね^^
今回で、制限能力者について記載されている条文の一区切りになるよ^^
民法第20条は制限行為能力者の相手方の催告権についての条文でした。
制限行為能力者とした法律行為について相手方が催告したときに
行為能力者への催告 → 回答期限が過ぎたら追認したものとみなす。
制限行為能力者への催告 → 回答期限が過ぎたら取り消したものとみなす。
となる条文でした。
恒例ですが、軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。
成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人 判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人 判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)
支援の必要性の度合いは
成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人
という形になります。
今回は制限行為能力者の詐術が記載された第21条について宅建試験、行政史書士試験のレベルで解説していきます。
今回で制限行為能力者の条文については一区切りです。
今回は久々に関連する重要判例があります。
1. 条文
第21条(制限行為能力者の詐術)
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
2. 条文解説
第21条
「詐術」とは人をだますことです。
第1条の解説で書きましたが、民法は「信義誠実の原則」が基本となっています。
制限行為能力者が行為能力者であると騙すようなことをしたときに、人を騙す行為は「信義誠実の原則」に背くものとして、そのような者まで保護の対象にしません。
すなわち、人をだますようなことをしたら、たとえ制限行為能力者でも許されないということです。
3. 判例
判決文の重要フレーズです。
宅建試験を目指す方はそういうこともあるというくらいで選択肢として出されたときに対応できるといいですね。行政書士試験を目指す方は過去に記述で問われたことがある重要フレーズです。
制限行為能力者であることを「黙秘」 → 取消し可能
制限行為能力者であることを「黙秘」+「それっぽい行動」 → 「詐術」にあたり取消し不可
例えば、契約を結ぶテーブルで制限行為能力者であることを「黙秘」して、おもむろにタバコを吸い始めた場合は契約を結んだ後、取消しはできなくなります。
以下に上記判例の原文をリンクしておきます^^
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/084/055084_hanrei.pdf
4. まとめ
今回は、制限行為能力者の詐術が記載されている第21条を解説しました。
民法の根底である「信義誠実の原則」を考えると、騙しをはたらいた者ならば制限行為能力者でも保護しない趣旨でした。
恒例となりましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。
制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。
今回で、ひとまずこの貼付もひと段落としますね。
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)
家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。
※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。
参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html
今回はこのへんで(^.^)/~~~
ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
各分野初心者の方々の「困った」や「知りたかった」の助けになるようにブログ作成中!
2020年11月23日ブログ開始
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