今まで民法の解説で紹介された制限行為能力者の制度の成年被後見人と被保佐人は中度~重度の認知症程度の人用なんでしょ?
最近、歳のせいで大きな契約に不安があるんだけど、今まで紹介してくれた制度だと、大げさすぎて使えないような気がするのだけど・・・。
そんなときは、被補助人の制度があるよ!
お歳を召して判断能力が低下しているくらいの人が利用できる制度だね^^
前回ご紹介した民法第14条は保佐開始の審判等の取消しの手続きについての条文でした。
軽くおさらいとして、制限行為能力者である「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についての違いです。
成年被後見人 常に判断能力を欠いている方(重度の認知症等)
被保佐人 判断能力が著しく不十分な方(中度の認知症等)
被補助人 判断能力が不十分な方(大きな買い物等はできるが不安がある等)
支援の必要性の度合いは
成年被後見人 > 被保佐人 > 被補助人
という形になります。
今回からは、民法で「制限行為能力者」として規定する「未成年者」「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の最後の「被補助人」についての条文になります。
被補助人は、お歳を召して判断能力の低下が気になる人が利用できる制度になります。
今回は第15条「補助開始の審判」と第16条「被補助人及び補助人」について宅建、行政書士試験のレベルで解説します。
両方とも以前出てきた成年被後見人と被保佐人についての開始の審判等に似ている条文ですので、比べながら見ていただくと分かりやすいかと思います。
1. 条文
第15条(補助開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第7条又は第11条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
➁ 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
③ 補助開始の審判は、第17条第1項の審判又は第876条の9第1項の審判と共にしなければならない。
第16条(補助開始及び補助人)
補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
2. 条文解説
第15条
① 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(認知症等による軽度の症状の人等)について、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官からの申立てによって、補助開始の審判をすることができます。
第7条本文 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(認知症等の重度の症状の人等)
第11条本文 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者(認知症等の中度の症状の人等)
に該当する場合は、補助開始の審判を受けられません(適切な制限行為能力者を選びましょうということですね)。
➁ 被補助人が他の制限行為能力者と異なるのは、「軽度」の症状であることです。すなわち大半のことは自分でできますので、被補助人となるべき人以外の請求の時は、被補助人となるべき人の同意がなければなりません。ここは「被保佐人」「成年被後見人」と異なる大きな点ですね。
③ 補助開始の審判は
第17条第1項 同意を要する旨の審判
第876条の9第1項 代理権を付与する旨の審判
のどちらか又は両方と共にしなければなりません。
このどちらかを審判のときに決めないと、「補助」を開始しても機能しませんね。
第16条
補助開始の審判を受けた者 → 被補助人
補助する人(保護者等) → 補助人
となります。
3. まとめ
今回は、被補助人を開始するときの手続きが記載されている第15条、第16条を解説しました。
「成年被後見人」と「被保佐人」と異なって、開始の審判をするにも本人の同意が必要になることが特徴の一つですね。
前回の記事にも載せましたが、裁判所が公開している後見制度のパンフレットを貼っておきますね。
制度の利用が必要な方が読んでいただけている可能性もありますので。
家庭裁判所の手続の流れなどについて簡単に図解したものです。
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(PDF:3.65MB)
家庭裁判所における手続や後見人の仕事などについて詳しく説明したものです。
※ 後見制度又は保佐制度を利用する方に対する権利制限に関する規定が削除されるなどの見直しが行われました。詳細はこちらをご覧ください。
参考 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/pamphlet/index.html
今回はこのへんで(^.^)/~~~
ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
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2020年11月23日ブログ開始
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