お父さんが亡くなったときに長男は亡くなっていましたか？～同時死亡の推定 民法第32条の2の解説～

ゆうき、久しぶり！もう更新しないかと思った(笑)

ゆうき

令和3年度の行政書士試験を受けるために勉強しようと10月2日を最後に更新が止まっていたんだけど、それからずるずると(;^_^A

やる気は、まだあるの？

ゆうき

ようやく行政書士試験に合格したので、これを機に再度奮起してがんばります！合格体験記についてはまた後日に記事にするね(笑)

前回は失踪の宣言の取消しが記載された第32条を解説しました。

実は第30条～第32条で「第5節　不在者の財産の管理及び失踪の宣言」となっており、今回の第32条の2はこの条文単体で第6節となります。

今回は失踪の宣告の取消しが記載されている第32条を宅建試験、行政書士試験のレベルで解説していきます。
第32条の2は同時死亡の推定として、全体的なルールについて記載されています。

それでは、見ていきましょう。

死んだはずだよお富さん♪～失踪の宣言の取消し 民法第32条の解説～

失踪の宣告の取消しが記載されている第32条を宅建試験、行政書士試験のレベルで解説していきます。

yukisirius.com

2021.10.02

1. 条文

第32条の2（同時死亡の推定）

数人のものが死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

2. 条文解説

第32条の2

例えば父、母、長男、長女の4人家族があったとしましょう長男、長女に子どもはいません。父と長男が船舶に乗っていて事故にあって2人とも死亡したとします。この場合、どちらが先に死亡したかを証明するのは困難です。また、死亡した順番によって相続の仕方が変わってきます。

多分、文章で説明してもなかなか分かりにくいところですよね(;^_^A

図を使って解説します。

【前提】父、母、長男、長女の4人家族、父が1000万円の財産、長男が500万円の財産を持っていた．

1) 父が先に亡くなって、長男が後に亡くなった場合

先ず父が亡くなった時に配偶者である母に半分の500万円、長男及び長女には残りの1/2ずつの250万円が相続されます。そうなるとそれぞれの財産は

母　　1000万円×1/2 = 500万円
長男　500万円×1/2＋500万円 = 750万円
長女　500万円×1/2 ＝ 250万円

となります。次に長男が亡くなったときに長男の財産は直系尊属である母にのみ相続されます。相続後の母と長女の財産は最終的に

母　　500万円（父の財産の相続分）+750万円（長男の財産の相続分）= 1250万円
長女　250万円（父の財産の相続分）

となります。

2）長男が先に亡くなって、父が後に亡くなった場合

先ず長男が亡くなった時に直系尊属である父と母に250万円ずつ相続されます。そうなるとそれぞれの財産は

父　　500万円×1/2 +1000万円= 1250万円
母　　500万円×1/2 = 250万円
長女　0円

となります。次に父が亡くなったときに配偶者である母に1/2、残りを長女が相続しますので、相続後の母と長女の財産は最終的に

母　　1250万円×1/2（父の財産の相続分）＋250万円（長男の財産の相続分） = 875万円
長女　1250万円×1/2（父の財産の相続分）= 625万円

となります。

上記のように、亡くなった順番によって相続人の相続する金額がことなってきてしまいます．

亡くなった順番を証明することが困難で、さらに亡くなった順番で相続する金額が変わってきてしまうと、残された相続人は困惑してしまいますね。そこで32条の2では船舶事故等で片方の死亡が発覚した後にもう一方が生存したことがあきらでないときは同時に死亡したこととします。

ただし、この条文は「推定する」となっていますので、「みなす」とは異なり、証拠となる事実があれば覆ります。

ちなみに上記の例のような場合（同時に亡くなったと推定される場合）の相続は以下のようになります。

父と長男が同時に亡くなったわけですから、まずは長男の相続権がなくなり、父の財産は配偶者である母に1/2、残りは長女に相続されます。

母　　1000万円×1/2 = 500万円
長女　1000万円×1/2 = 500万円

次に長男の財産は直系尊属である母に相続されますので、最重的な母と長女の相続される金額は、

母　　500万円（父の財産の相続分）+ 500万円（長男の財産の相続分）= 1000万円
長女　500万円（父の財産の相続分）

となります。

このように第32条の2は相続分を一律にするための規定になっています。

3. まとめ

今回は同時死亡の推定が記載されている第32条の2を解説しました。

亡くなった順番によって相続する遺産の金額が変わってきてしまうため、争いがないように制定されたのでしょうね。

今回はこのへんで(^.^)/~~~

2022年度版　合格革命　行政書士　肢別過去問集 [ 行政書士試験研究会 ] 価格：4180円（税込、送料無料) (2022/2/20時点) 楽天で購入

ゆうき

ゆうき
理系博士号取得者 / 製薬会社勤務→商社勤務(2021年)/ 所有物件 戸建4軒
科学、不動産投資、法律と気が向いたことを書いていく雑記ブログです。
各分野初心者の方々の「困った」や「知りたかった」の助けになるようにブログ作成中！
2020年11月23日ブログ開始